本文とサイドメニューへジャンプするためのナビゲーションスキップです。

トップページ > 経営をよくする > 元気印中小企業

元気印 中小企業 独自の技術や発送を武器にがんばる日本各地の中小企業を紹介します

掲載日:2017年5月17日

[北陸エリア]

天池合繊
世界一薄くて軽い生地「天女の羽衣」物語

石川県の奥能登に、日本のみならず、イタリア、フランスの有名ファッショントップブランドから受注している合繊メーカーがある。「天女の羽衣」と名付けられた織物は、世界最軽量で極薄の素材である。手のひらに乗せても、ほとんど重さを感じず、透明感と艶やかな光沢を持ち、人々を魅了する。さまざまな困難を乗り越えて、企業の売上を支える製品となりつつある「天女の羽衣」の誕生から現在までに迫る。

  • 世界に数社しかない極細の糸を織り上げる高い技術力
  • 織機の部品を改造し、思い通りの製品を生産する創意工夫力
  • イタリア、フランス、アメリカへと世界市場に拡販

これを織り上げられれば世界で一番になれる

大手合繊メーカーが当時世界で最も細い7デニールの糸を開発したのは、天池源受社長(以下、現社長)が代表取締役社長に就任した2001年以降の話だった。当時、天池合繊ではメーカーから請け負って生地を製造していた。

「デニール」とは糸や繊維の太さの単位であり、数が小さいほど、糸や繊維が細くなる。7デニールといえば髪の毛の5分の1位の細さである。当時の服地で一番細い繊維が20デニールであることから考えると、いかに細いかが想像できる。

プラズマテレビやフィルターといった産業資材に使用する目的で、大手合繊メーカーはその糸を傘下の企業で織り上げて生地にしようと試行錯誤した。しかし、その細さゆえ、3年掛かっても織り上げられなかった。

元来、奥能登は細い糸を織り上げる地域として業界では有名で、大手合繊メーカーは天池合繊に駆け込んできたのだった。

「糸が細すぎて見えにくいのです。糸をぱっと離すと空気中に浮いていくほどに、細くて軽い。見えない糸をどうやって織ろうか」そう現社長は戸惑ったという。

試しに75デニールのカーテンの経糸に、緯糸として織ってみた。経糸に糸を打ち込むと同時に緯糸が切れながら織り上げられた。極細の糸を織り上げることが難しいと実感したことと引き替えに、この生地が織り上げられれば世界一になれるのではとの想いもよぎった。

使用している織機そのままでは、糸が切れて織物にならないことに気がついた。極細糸を織るために鉄工所や樹脂加工業者に通い、部品を特注して織機を改造していった。改造の織機で織物の製造に成功した。

更なる試練を乗り越えるため自販へ

やっと製品が織れるようになり、大手合繊メーカーもこの極細糸で織った生地に社運を掛けているとの話を聞いて、天池合繊でも設備投資をどんどん進めた。

その矢先、大手合繊メーカーが産業再生機構への支援要請を行ったのだ。この先どうなるのか不安に思っていたところ、大手合繊メーカーが経営権を売却し、引き継がれた企業からすでに開発量産に入ったプラズマテレビの価格が1年で半値に下がったので、生地代も半値にしてほしいとの依頼が来た。しかし、すでに設備投資を行っており、半値ではとてもじゃないが経営が成り立たなかった。このままでは借入返済が不能になり倒産してしまう。それで、自社でファッション用の生地として販売する決心をした。

2005年、世界一薄く軽い生地は「天女の羽衣」と名付けられ、自販することになった。外部に依頼し、開発費や設備投資金額そしてその借入返済とランニングコストを考慮して値段をつけたのはいいものの、高級な生地として有名なシルクと同じくらい高い値段になってしまう。現社長自身も本当に売れるのだろうかと不安になったという。

天女の羽衣(スカーフ)

天女の羽衣(スカーフ)

イタリアの展示会をきっかけに日本そして世界へ

国内のいろんな会社や百貨店に営業に行ったが、「高い」とか「売れてるんですか」と訊かれることも多く、気づくと1年が経過していた。設備投資に関しての銀行からの貸し付け猶予は1年だった。「返済のための貸し付けをしてくれたんですね。自転車操業ですよ。ただし猶予1年ですよ。1年は直ぐ経ちました。ああこれでもうダメかなと思った」

そんな折、ジェトロ(日本貿易振興機構)のイタリアの展示会へ出展した。そうしたところ、イタリアの世界的なファッションブランドからの受注に成功する。また、国内の有名ウェディングドレスブランドからも受注に成功した。ただ、生地の生産の受注には

波がある。これを解消すべく、自社でスカーフやポケットチーフ等の製品を販売し始めたところ、某百貨店の社長が気に入ってセールスしてくれて、飛ぶように売れた。

さらに、テレビでの製品の紹介もあり、製品の売上げは安定してきており、今日では自社の売上げの一つの柱となっている。海外での販売実績はイタリアのみならず、フランス、アメリカと広がりを見せている。

「天女の羽衣」の自販での成功例を活かし、今後は請負の部門も製品化し自販を目指す。

左:パリオペラ座のポスター(衣装に使用)/右:天女の羽衣のポスター

左:パリオペラ座のポスター(衣装に使用)/右:天女の羽衣のポスター

技術の高さでさらに自販率の向上を目指す

どうしたら織れるのかという工夫と、請負から自販への経営判断と営業努力が実を結び、「天女の羽衣」は高価格ながら海外からも引き合いが来るようになった。国内では消費者に製品で認知度が上がり、ブランド化されることで国内販売も織物と製品ともに販売拡大している。現在は5デニールから1000デニールまで織る技術を有しており、風呂敷、網戸、衣料用服地、カーテン、スポーツウェア、カバン等の織物生産を請け負っている。今後、こういった製品の設備を活かして自販率を上げて会社の発展を目指す。

企業プロフィール

天池源受社長

天池源受社長

会社名 天池合繊株式会社
法人番号 1220001015239
代表者 天池源受社長
業 種 織物製造(請負委託加工)及び天女の羽衣(生地)、天女の羽衣スカーフ卸販売
所在地 石川県七尾市国下町ト部59番地1

新着記事

記事一覧を見る

このページの先頭へ

このページの先頭へ