ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2018年4月13日更新
Q.518 ファイバーについて教えてください。リフラクトリー・セラミックファイバー(RCF)は労働安全衛生法施行令および特定化学物質予防規則(特化則)が改正されて対象物質となりましたが、ファイバーに対する国内外の規制の動きはどのようになっているのか教えてください。

セラミックファイバーとは、アルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)を主成分とした人造鉱物繊維の総称で、非晶質のリフラクトリー・セラミックファイバー(RCF)と結晶質のアルミナ繊維およびムライト繊維があり、これらをアルミナファイバー(AF)と言います。RCFには、アルミノシリケート耐火セラミック繊維(Al-RCF)とジルコニアアルミノシリケート耐火セラミック繊維(ZrAl-RCF)があります。
 セラミックファイバーに関する国内と化学物質規制で主導的な役割を担っているEUおよび米国の規制についてご説明します。

1. セラミックファイバーの国内の規制について

国内は、労働安全衛生法の規制を順守する必要があります。

(1)ラベル表示、SDSの交付
 セラミックファイバーについては、労働安全衛生法で規定されていますラベル表示、SDSによる情報伝達が必要です。
 労働安全衛生法施行令では人造鉱物繊維として別表9に収載されていましたが、RCFが特化則の適用物質に規定されたことにより、セラミックファイバーを含有する混合物のラベル表示、SDS交付の裾切値は下表のようになっています(平成28年6月1日施行。)。

セラミックファイバー
(別表9の名称)
ラベル表示の裾切値 SDS交付の裾切値
人造鉱物繊維(RCFを除く) 1% 1%
RCF 1% 0.1%

(2)粉塵障害防止規則、塵肺則などとの関連
 人造鉱物繊維、RCFなどのセラミックファイバーは、鉱物の一種であることや耐火物として使用される場合があることから、粉塵障害防止規則、塵肺法および塵肺法施行規則の規定が適用されます。

(3)RCFの特定化学物質障害予防規則の適用(平成27年11月1日施行)1)
 RCF(CAS No.142844-00-6)1)が国際がん研究機関(IARC)によって発がん性2B(ヒトに対する発がんの可能性がある)に分類されたことにより、特定化学物質障害予防規則の対象物質(第2類物質)に追加指定する改正が行われました。RCF製造・取扱い作業では、次の項目が義務付けられます。

  • 作業主任者の選任
  • 作業環境測定の実施
  • 特殊健康診断の実施
  • 配置転換後の特殊健康診断
  • 作業環境測定結果、健康診断結果、作業記録等の30年保存などを義務付け
2. EUの規制の動き

(1)CLP規則によるセラミックファイバー(鉱物繊維、RCF)の調和分類
 CLP規則附属書Ⅵ表3に、セラミックファイバーの2種類について、下表の調和された分類が収載されています。ラベル表示、SDS交付では、この分類に従う必要があります。

No 名称 有害性区分 警告文句
650-016-00-2 鉱物繊維
ランダム配向性(不規則配向性)の人造ガラス質ケイ酸塩繊維でNa2O+K2O+CaO+MgO+BaO>18%のもの
発がん性2 発がんのおそれの疑い
650-017-00-8 RCF、マイクロファイバーウール
ランダム配向性
(不規則配向性)の人造ガラス質ケイ酸塩繊維でNa2O+K2O+CaO+MgO+BaO≦18%のもの
発がん性1B 発がんのおそれ

(2)REACH規則による規制
 2011年8月に下表の2種の組成からなるRCFがCL物質(SVHC)リストに収載されました。また、2014年2月に、ECHA(欧州化学品庁)はRCFを認可物質としてリスト(Annex XIV)に収載するよう勧告され、審議中です。

アルミノシルケート
耐火セラミック繊維
ジルコニアアルミノシリケート
耐火セラミック繊維
組成範囲 主成分がAl2O3、SiO2
添加物(Na2O+K2O+CaO+MgO+BaO)が18wt%と等しいかそれ以下
主成分がAl2O3、SiO2、ZrO2
添加物(Na2O+K2O+CaO+MgO+BaO)が18wt%と等しいかそれ以下
3. 米国の規制の動き

米国は1994年5月14日に、RCFについてはTSCA(Toxic Substances Control Act:化学物質規制法)の同意指令の最終規則が公表されています2)。これにより、RCFはTSCAのSNUR(Significant New Use Rule:重要新規利用規則)の対象になることになりますが、現時点ではSNURのリストを確認できていません3)。SNURの対象になる場合は、製造開始や輸入や加工する少なくても90日前に環境保護庁(EPA)にSNURの届出が必要です。米国に輸出されます場合は、EPAに確認をお願いします。

1)http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121.html
2)https://www.epa.gov/sites/production/files/2015-10/documents/sun51.pdf
3)https://www.gpo.gov/fdsys/pkg/FR-1994-03-21/html/94-6552.htm
https://www.gpo.gov/fdsys/granule/FR-1994-12-08/94-30215/mods.xml
https://iaspub.epa.gov/sor_internet/registry/substreg/searchandretrieve/advancedsearch/externalSearch.do?p_type=CASNO&p_value=142844-00-6#

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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