ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2017年4月21日更新
Q.498 EU域内の展示会に出展するために輸出する成形品はREACH規則の対象となるのでしょうか?

REACH規則の適用範囲は、「物質そのもの、混合物に含まれる物質又は成形品に含まれる物質の製造、上市又は使用及び混合物の上市に適用する」(REACH第1条2項)と規定されています。また、成形品をEU域内で製造又は輸入する事業者に要求される責務は以下の通りです。

1.成形品中の物質の登録の義務

以下の条件を満たす場合、成形品中の物質の登録が必要となります。

  • (1)通常および当然予見できる使用条件下で、その成形品から物質が意図的に放出されている
  • (2)意図的に放出される物質が成形品中に、年間に1生産者または輸入業者 あたり1tを超える量で存在する
  • (3)成形品におけるその用途が登録されていない
2.成形品中の高懸念物質の届出の義務

以下の条件を満たす場合、届出が必要となります。

  • (1)高懸念物質(SVHC)が成形品中に、重量比0.1%を超える濃度で存在する
  • (2)SVHCが成形品中に、年間に1製造者または輸入者あたり1tを超える量で存在する
  • (3)成形品におけるその用途が登録されていない
3.情報伝達の義務

届出義務の有無に関わらず、「高懸念物質(SVHC)が成形品中に、重量比0.1%を超える濃度で存在する」場合には、次の2つの情報伝達義務が必要となります。

  • (1)最低限当該物質名を含む、当該成形品を安全に使用できるのに十分な情報を受給者に提供する。
  • (2)消費者の要求があれば最低限当該物質名を含む、当該成形品を安全に使用できるのに十分な情報を消費者に、要求を受けた日から45日以内に、無償で提供する。

REACH規則における「上市」の定義は、「上市とは、有償であるか無償であるかに拘わらず、第三者に対して供給又は利用可能にすることをいう。輸入は上市とみなす(REACH第3条12項)」とされています。この条文にある「利用」というのは「第三者(その成形品を使用する企業または消費者)が使用すること」、とされています。したがい、展示会で貴社の成形品は「利用」しませんので、「上市」にはならないと考えます。
 また、展示会に出品する成形品に意図的放出がある場合や、SVHCが含まれている場合であっても、それらの物質は少量で1トンを超えるケースは少ないと思います。また、展示するのみで譲渡しない場合には「第三者」もいませんので、情報伝達の義務は発生しないことになります。

以上より、展示会出展のための見本として一時的に輸出する成形品はREACHの対象にはならないと考えます。また、展示会出展目的の一時輸出の場合には、保税展示会への出展証明書や、ATAカルネを利用して、「利用」とならない一時輸入であることを申告する必要があります。
 なお、貴社が展示会の見本用としてEU域内に持ち込んだ成形品をEU域内で第三者に譲渡した場合には、REACH規則の適用になる場合がありますので注意が必要です。

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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