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ここが知りたい REACH規則

コラム

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17.07.28

REACHにまつわる話(69)-Candidate List物質の追加など最近のニュースから-

2017年7月10日に、candidate listに1物質が追加収載されことがECHAから公表されるとともに、これまでに、candidate listに収載されていました5物質について、収載理由の有害性項目が追加されました1)
 他方、「成形品中の物質の要求に関するガイダンス」の改定が進められていましたが、その最終版が2017年6月28日に公開されています2)
 今回のコラムでは、これらの概要についてご紹介します。

1.Candidate listへの追加物質

2017年7月7日に、表1に示しますパーフロロヘキサンスルホン酸及びその塩がcandidate listに収載されました。
 パーフロロヘキサンスルホン酸の分子式はC6F13SO3Hで表されます。別名としてペルフルオロヘキサンサンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサン-1-スルホン酸、トリデカフルオロ-1-ヘキサンスルホン酸等があります。Candidate listでは、パーフロロヘキサンスルホン酸及びその塩類を纏めて、PFHxSと略称されています。

 収載理由の説明では、フッ素化アルキル化合物に関する一連の規制活動の一環としています。PFHxSは、パーフルオロアルキル化合物やポリフルオロアルキル物質のグループ(PFASs)に属し、類似の有害性を有すると考えられます。PFHxSはまだREACHの登録はされていませんので、現状は広範囲に製造・輸入されていないと考えられます。しかし、既に規制されているPFASsへ安易に代替されないようにするための、規制活動といえます。

表1:2017年7月7日にcandidate listに収載された物質

物質名 EC No. CAS No. 収載の根拠
とした有害性
考えられる用途
1 パーフロロヘキサンスルホン酸
およびその塩
(PFHxS)
206-587-1
355-46-4
vPvB(第57条(e)) 可塑剤、潤滑剤、界面活性剤、湿潤剤、腐食防止剤、泡消火剤
2.Candidate listに収載されている物質の有害性項目の追加について

表2には、第1節のcandidate listへの追加物質の公表と同時に、これまでに収載されていた5物質について、収載時に特定された有害性の項目以外の有害性があると認定され、有害性の項目が追加されました。

表2:candidate listに収載されていた物質の有害性項目の追加

物質名 EC No. CAS No. 新たに追加された有害性 考えられる用途
2 4,4'-イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノール A; BPA)
(別名:4,4'-(1-メチルエチリジン)ジフェノール
201-245-8 80-05-7 内分泌かく乱性(第57条(f)-ヒト健康) ポリカーボネートの原料、エポキシ樹脂の硬化剤、PVC加工時の抗酸化剤、感熱紙の発色剤
3 フタル酸ベンジルブチル(BBP) 201-622-7 85-68-7 内分泌かく乱性(第57条(f)-ヒト健康) 接着剤、シーラント、コーティング製品
4 フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP) 204-211-0 117-81-7 内分泌かく乱性(第57条(f) -ヒト健康) PVC等の可塑剤
5 フタル酸ジブチル(DBP) 201-557-4 84-74-2 内分泌かく乱性(第57条(f)-ヒト健康) PVC等の可塑剤
6 フタル酸ジイソブチル(DIBP) 201-553-2 84-69-5 内分泌かく乱性(第57条(f)-ヒト健康) コーティング製品、フィラー、パテ、可塑剤、ポリマー粘土

#2のBPAは、2017年1月4日に生殖毒性としてcandidate listに収載されていましたが、内分泌かく乱性があるとして新たに提案が出され、60日間の意見募集の後に、その有害性の追加が決定されました。

 #3~6の4種のフタル酸エステル化合物のうち#3~5は2008年10月28日、#6は2010年1月13日に生殖毒性があるとしてcandidate listに収載されていました。内分泌かく乱性については、新たな提案書が出され加盟国専門家委員会で2014年にDEHPについて、環境への内分泌かく乱性が全会一致で合意されていましたが、人への内分泌かく乱性については、全会一致の合意がされず、欧州委員会に付託されていたものです。そのため、コミトロジー手続き(REACH規則113条3項)を経て、有害性の項目の追加が決定されています3)。なお、candidate listへの収載や有害性項目の追加手続きは、図1に示しますREACH規則の第59条の手続きに従って行われます。

candidate list収載手続きフロー

今回の4種のフタル酸エステル化合物の認可申請期限(2013年8月21日)は既に過ぎて、日没日は2015年2月21日で認可を取得していなければ、EU域内では使用できなくなっています。このような状況、何故新たな有害性の項目が気になるところです。EUに輸入されるこれらのフタル酸エステル化合物を含有する成形品による懸念が高まった場合には、それらの輸入制限に繋がるものと考えられます。

3.「成形品中の物質の要求に関するガイダンス」の改訂版の公開について2)

成形品中のcandidate listに収載された高懸念物質(SVHC)(以下CLSと略す)0.1%についての、濃度算出の単位や届出、情報提供義務についての欧州裁判所の判決4)に従い、「成形品中の物質の要求に関するガイダンス」の改訂が進められていましが、その改訂が完了し、2017年6月28日に公開されました。
 改定は、特に複数の部品からなる複雑構造の成形品中のCLSの含有率及びCLS量の算出方法について詳細に解説されています。是非、ご一読をお勧めします。

 このガイダンスの中で、SVHC等の用語の使用法について変更されていますので、説明します。
 従来、「SVHC」は、candidate listに収載された(高懸念)物質に対して主に使われていました。しかし、改訂されたガイダンスにおいては、「candidate listに収載された(高懸念)物質」に対しては、「candidate list substance」が主に使われています。これに倣って、このコラムのこの説ではこの用語を使用しました。
 ガイダンスの中では下記の説明がされています。

REACH規則第57条で定義される基準の一項目以上に該当する物質を高懸念物質(SVHC)として特定することが出来、認可のためのCandidate listに収載される。
これらのSVHCは、

  • 発がん性、突然変異誘発性または反復毒性(CMR)カテゴリー1Aまたは1Bの分類基準を満たす物質
  • 難分解性、生物蓄積性および毒性(PBT)物質または高難分解性で高生物蓄積性(vPvB)物質
  • ケースバイケースで特定された物質であって、人間の健康や環境に重大な影響を及ぼす可能性があると科学的に証明されている物質。 内分泌かく乱物質

すなわち、上記の基準に従ってSVHCであるかを確認し、candidate listに収載されることになります。SVHCとcandidate listに収載された物質は同じではなく、REACH規則の定義に沿って、今回のガイダンスでは正確に記載されたと考えることが出来ます。

(林  譲)

参考資料
1)https://echa.europa.eu/-/one-new-substance-added-to-the-candidate-list
2)https://echa.europa.eu/documents/10162/23036412/articles_en.pdf/cc2e3f93-8391-4944-88e4-efed5fb5112c
3)http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32017D1210&from=EN
4)http://curia.europa.eu/juris/liste.jsf?language=en&td=ALL&num=C-106/14

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。


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