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ここが知りたい REACH規則

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17.05.12

ECHA 執行情報交換フォーラムによる今後の調査テーマ

REACH規則の76条(f)に基づき、REACH規則の執行権限を有する加盟国当局が連携して執行状況の調査を行うために、欧州化学物質庁(ECHA)に「執行情報交換フォーラム(以下、フォーラム)」が設置されています。
 フォーラムは年3回(3月、6月、11月)に全体会議 1)が開催され、執行状況の調査プロジェクトについて、実施状況の確認や実施後のフォローアップ、今後のテーマ選定などについて、各種の決定が行われます。
 フォーラムの執行調査には、多くの加盟国が参加し、1年間の調査期間を設けて統一のテーマで実施する「REACH EN FORCE(REF)」プロジェクトと、参加加盟国および調査期間、調査テーマを限定したパイロットプロジェクトの2種類があります。
 今回は、現在進行中または今後実施予定の各種プロジェクトについて整理します。

1.現在進行中のプロジェクト

現在調査または報告書の作成が進行中のプロジェクトは2016年および2017年に調査が予定されていた次の4つのプロジェクトです。
 REF-4の「制限」およびパイロットプロジェクトの「認可対象物質」については、調査は完了し、参加加盟国による調査報告書の作成や評価など調査結果のとりまとめ作業が行われている段階です。REACH規則附属書XVIIの「制限」については、消費者の健康や安全に重大なリスクがある製品情報をEU内で共有する「RAPEX 2)」でも毎年多くの違反事例が公表されるようになっている状況ですが、フォーラムとしては初めて「制限」をテーマに設定したこともあり、その結果が注目されるところです。
 現在調査が実施されている「化学品のインターネット販売」では、CLP規則第48条に基づき、危険有害性を有する化学品について、危険有害性等の適切な情報が消費者に提供されているかなどが調査されています。本コラムで取り上げたRAPEXの2016年年次報告書においてもインターネット販売品に焦点を当てて調査が行われたことが明記される等、インターネット販売品の増加によって当局も注視しており、このことは化学品についても例外ではありません。
 また、REF-5では化学品の供給者である製造者や輸入者、混合物メーカー等から使用者までのサプライチェーンを通じたSDSによる情報伝達や関連措置について調査が行われています。この中には労働者監督官と連携した事業場における取扱い条件やリスク管理措置の実施状況なども労働安全衛生面も調査項目に含まれています。

調査対象 調査時期 報告書公表時期
REF-4 附属書XVIIの「特定の制限項目」。
実施対象とする制限項目は加盟国が自国の状況に応じて自由に選択
2016年 2017年Q4
パイロットプロジェクト 認可対象物質(その2)
※その1は2016年2月に報告書を公表
2016年1月~10月 2017年Q2
パイロットプロジェクト 化学品のインターネット販売 2016年12月~2017年8月 2018年Q3
REF-5 e-SDSやばく露シナリオ、リスク管理措置、使用条件に関連する義務 2017年 2018年Q4
2.今後実施予定のプロジェクト

現在、2018年に実施予定のREF-6およびパイロットプロジェクトについては、調査テーマの概要が確定している状況であり、REACH規則、CLP規則に加えて、特定の化学物質の輸出入国間での事前同意手続き等を定めたロッテルダム条約のEU域内法であるPIC規則が初めて対象となっています。なお、2019年に実施するREF-7等のテーマは2017年3月に実施予定の全体会議までに提案を受け付け、2017年11月の全体会議でテーマが決定する流れとなっています。
 成形品に関わる届出や情報伝達に関するパイロットプロジェクトが2017年10月頃から実施される予定となっています。2015年9月に公表された欧州司法裁判所の先決裁定を受けて、ECHAの「成形品中の物質に関するガイダンス」の第4版への改訂作業が最終段階にきており、最終化されるガイダンスの内容とともに、調査方法やその結果が注目されるところです。
 また、CLP規則では混合物の移行期間が設定されていましたが、2015年6月1日以降に上市する混合物にはCLP規則が完全適用されています。また2017年6月1日以降は2015年6月1日以前に上市された在庫品についても、CLP規則に基づく再表示や再包装が必要となります。このような移行期間の完了を受けて、REF-6では、混合物の分類・表示・SDSについて調査が行われることになっています。
 またPIC規則については、税関当局と連携を強化し、統一的な執行活動が必要であること、ポリマー中のモノマー登録については、過去の調査等によって輸入者を中心にその義務内容の認知が進んでいないこと等がテーマ選定の理由として挙げられています。

調査対象 調査時期 報告書公表時期
パイロットプロジェクト 欧州司法裁判所の先決裁定に基づいた成形品中のSVHCに関する届出および情報伝達 2017年Q4~2018年Q1 2018年Q3
REF-6 混合物の分類および表示・SDS。加えて、関連するオプション項目を加盟国が選択
・CLP規則の届出義務
・調和化された分類(CLH)の適用義務
・ラベルおよび容器義務の適用除外
・液体洗剤容器の義務
パイロットプロジェクト PIC規則 2018年上期 未定
パイロットプロジェクト ポリマー中のモノマー登録 2018年Q4~2019年Q1 未定
パイロットプロジェクト 中間体
※2017年11月の全体会議でパイロットプロジェクトとするかREF-7とするかを決定予定
2018年下期または2019年 未定

現在、フォーラム全体会議において、実施が確定している内容は上記のとおりですが、その他にも、REFのテーマとして、多くの不順守の発生が想定される「2018年5月31日の最終登録期限」や2度のパイロットプロジェクトの経験を活用した「2017年に日没日を迎えた認可対象物質」などが調査テーマとして挙げられています。

フォーラムが取り挙げる調査テーマは、不順守が散見される等、当局が認識している課題が反映されています。調査結果や調査テーマの選定等の新たな情報は適宜本コラムで取り挙げてまいりますので、自社の化学物質管理にご活用頂ければ幸いです。

(井上 晋一)

1)ECHA フォーラム全体会議
https://echa.europa.eu/about-us/who-we-are/enforcement-forum/meetings-of-the-forum/2017

2)RAPEX
http://ec.europa.eu/consumers/consumers_safety/safety_products/rapex/alerts/repository/
content/pages/rapex/index_en.htm

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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の 見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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