経営コンサルタントの国家資格”中小企業診断士”の情報が満載です。 中小企業診断士の広場

中小企業診断士の広場

活躍中の独立診断士へインタビュー

最前線の診断士

書を持って、会いに行こう(1) 原 正紀さん

取材・文:星野 裕司(中小企業診断士)西原 麻衣(中小企業診断士)

【第1回】ビジネスツールとしての「書く」仕事

2017年4月11日更新(取材日:2017年2月21日)

書籍を執筆された中小企業診断士に会いに行き、お話を伺う「書を持って、会いに行こう」。
まず会いに行ったのは、経営者や官公庁の委員、大学の客員教授としての顔を持つ一方で、数々の書籍も執筆されるなど、中小企業診断士の枠を超えて活躍されている原正紀さんです。1回目は、書籍の執筆にあたって必要なことを伺いました。

著書はビジネスを広げる有効なツール

―原さんはとても多くの肩書きをお持ちですが、どのような活動をされているのでしょうか?

クオリティ・オブ・ライフという人財関係のコンサルティングや人財サービス提供の会社を経営しており、これがメインの仕事です。その傍ら、社外取締役や団体の理事、中小企業診断士としての業務や大学の客員教授、産学官連携やジョブカフェなどの公共関連、官公庁の委員、ITコーディネータ、そして書籍や雑誌連載の執筆にも携わっています。
私は好奇心が強いほうなので、さまざまなものに手を出した結果、現在のような幅広い活動に携わることになりました。診断士資格は、自身の会社の経営をはじめ、人脈が広がるなど、ビジネスの有効なツールとして役に立っています。

―書籍を執筆されるようになったのは、診断士資格を取得された後でしょうか?

元々読書が好きで、小学生くらいから活字に対しての親しみがあったため、学生時代から書くことに興味はありました。ですが、いまのようにブログやTwitterはありませんでしたし、かといって小説を書くほど本気でもなかったので、実際に書いてはいませんでした。その後、リクルートに入社し、自分が企画を仕切りながらライターたちと一緒に制作物を作っていくうちに、自分でも書けそうだなと思い、インタビューの連載を持つことになったんです。
最初は思うように書けませんでしたが、いろいろと修正をしながらやっていくうちに、モノになってきました。営業の仕事でも企画書などをよく書いていましたし、そもそも営業の仕事にはインタビューのような面があります。自分で言うのもなんですけれど、書くのが早いんですよね。ほかの仕事もあって、時間をかけて書いている暇がないため、これは大きな強みだと思っています。リクルートで雑誌の連載を担当した経験もありましたが、書籍を執筆するきっかけとなったのは、診断士資格取得後のプロコン塾の活動で、共著で書籍を執筆したことでした。

長期にわたりコンスタントに書き続ける秘訣

―これまでのご経験で培われた、書くことに関する強みを活かされたということですね。

共著での執筆が自信につながったので、月刊『企業診断』(同友館)で「シリーズ 挑戦する経営者」というトップインタビューの連載を始めました。これは私から当時の編集長に企画を提案し、15年以上、約140回の連載が現在も続いています。
独立してからは、「毎年1冊書籍を出す」ことを自分に義務づけていた時期もあり、これまでに10冊以上を執筆しました。

―そうした経験やノウハウをもとに、書籍『インタビューの教科書』(同友館)も生まれたのですね。書籍を1冊書くのは、かなり大変な作業ではありませんか。

そうですね。慣れないとすごくパワーを使うので、書籍を書きたい人にとっては、まずそれだけの意欲があるかどうかですね(笑)。そして、その時間をひねり出せるのか、出版できる水準のものを本当に書き上げられるのか、また、そもそもそのチャンスをゲットできるのか、というハードルがあります。
一番大変なのが、時間の捻出です。私の場合、平日は仕事で書く時間がありませんので、執筆のほとんどは土日を使っています。

―時間を捻出するうえで、工夫されていることはありますか。

書く生産性を上げるしかありませんね。たとえば、電車の中で原稿をスマホで書いたりとか、風呂に紙とペンを持って行って、あらすじやキーワードを書いたりとか。
書籍を執筆する際は、まず章立てと骨子を作り、基本的には最初の部分から書き始めます。今はパソコンがあり、どんどん書いて後で修正も上書きもできるので、便利ですよね。新聞の連載やコラムなど短い文章の執筆は、とにかく書いて一気に直して、というやり方です。
また、私は利用していませんが、先日対談したある方は、文字入力に音声認識を利用しているとおっしゃっていました。人前ではできませんけれど(笑)。

―出版できる水準とは、どのようなものでしょうか。

まずは、商業出版に耐えうる企画を作れるかどうかです。売れそうなものでないと、どの出版社も採用しません。市場性のあるものと判断されるかどうかというハードルがあり、さらに1冊の本を読ませるだけの書き方、そして内容における情報や知識の質と量を担保できないとダメでしょうね。これらが全部伴って、初めて出版にたどり着けると思います。
このようにハードルはありますが、楽しみながらやっています。最初の企画を考えるところ、コンセプトワークが、私自身は一番面白いですね。

(つづく)

【お役立ち情報】

【関連情報】

プロフィール

原 正紀さん

原 正紀(はら まさのり)
(株)クオリティ・オブ・ライフ代表取締役社長。早稲田大学法学部卒業後、リクルートを経て、新時代の人財ビジネスを行う(株)クオリティ・オブ・ライフを設立。産学官にまたがる仕事を通じて、これまで2,000人を超える経営者や識者との面談を行ってきた。高知大学客員教授(キャリア論)、成城大学非常勤講師(起業論)。
主な著書に『人が集まる、定着する!会社の採用』(すばる舎)、『インタビューの教科書』、『独活のススメ』(同友館)、『間違いだらけの会社選び』(アチーブメント出版)など。月刊『企業診断』で「シリーズ 挑戦する経営者」を連載中。