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地域資源活用チャンネル

いきいき活用事例

宮崎県

単独でもやっていける町に

山下盛親委員長(左)と木下行春さん

山下盛親委員長(左)と木下行春さん

日本最南端のどぶろく特区

 三股町商工会が取り組む「どぶろく」を切り口にした産業振興と町の活性化を図る事業が2007年度から本格化する。06年度は経済産業省から補助金を受け、町内の17社がどぶろくを原料に使った食品などを試作。展示会では商社や大手食品スーパーなどと商談し、製品化へ向け好感触を得た。今後は各社が製品化へ向けて事業を展開していく。

 三股町は国の構造改革特区を申請し、02年に「どぶろく特区」として認定を受けた。九州のどぶろく特区は三股町だけ。どぶろくを町内で唯一生産する木下行春さんは「国内最南端のどぶろく特区」と三股町の特徴を説明する。05年から生産を開始し、木下さんが経営する民宿兼レストラン「そば道場百姓屋」でお客に提供するほか、全国にも発送している。

 木下さんが欧州を視察した際、農家が自分で栽培したぶどうを使ってワインを生産、それをお客に提供していたのを見たのがどぶろく生産のきっかけ。自身はお酒づくりの経験はないが、宮崎県都城市の大手焼酎メーカーのOB技術者を採用し、「試行錯誤の末、製品化にこぎ着けた」(木下さん)。もともと農業を営む木下さんが生産した米100%のどぶろく。アルコール度数が12度と清酒に比べて低いことなどから、女性や高齢者に好評という。06年度は約6000キロリットルを生産した。

どぶろくを使用したパウンドケーキやまんじゅうなど

どぶろくを使用したパウンドケーキやまんじゅうなど

17社が事業に参画

 木下さんのどぶろく事業は成功したといえるが、三股町への波及効果という面が課題だった。そこで三股町商工会の地場産品部会(山下盛親部会長=紫麓窯社長)が、どぶろくを地域資源として活用し、地域興しと商工業の振興につなげようと06年7月、第1回のプロジェクト委員会(山下盛親委員長)を開いた。

 同委員会は地場産品部会会員のほか、農家やJA、林業、行政などで構成。経済産業省の小規模事業者新事業全国展開支援事業に応募することを前提に加工食品など開発の可能性を検討、町内へのアンケートなども実施し、9月には試作品の開発に取りかかった。

 試作したのは、どぶろくを原料に使ったまんじゅうやチョコレート、アイスクリーム、パウンドケーキなど約40品目。10月にはイメージ戦略の検討やパッケージ部会の会合なども開き、試作品はほぼ完成の形に仕上がった。

 その後、11月に東京都の池袋サンシャインシティで開かれた全国商工会連合会主催の展示商談会を皮切りに07年2月に東京都の東京ビッグサイトでの東京インターナショナル・ギフトショーなどの展示会に出展した。展示会では「商社や大手流通と話ができ、予想以上の好感触を得た」(山下委員長)今後の製品化へ向けて大きな判断材料となった。

 ただ試作を生産したのは、ほとんどが家族的経営をしている小規模事業者。「『1日5000個生産してほしい』といわれても無理」(同)な状況だ。すでに一部では生産能力の増強に着手した事業者もあるが、大半は今後、設備をどうするかが課題となる。三股町商工会は経営革新や制度融資などを紹介し、事業者を支援していきたいとしている。

 三股町は宮崎県西部の都城盆地に位置する農業など一次産業が盛んな人口2万4000人の町。隣接する都城市と合併せず、単独で行くことを決めている。こうした事情から商工業の振興は大きな課題でもあった。また三股町には「これといった特産品がない」(同)ことも今回の事業に参加者が力が入る要因となっている。3月には三股町で事業成果の報告会を行った。今回の17社以外にも広く参加事業者を募り、町の振興につなげていく考えだ。

【コメント】山下盛親委員長
三股の素材を生かす

木下さんが生産するどぶろく

木下さんが生産するどぶろく

 三股町商工会には県内の商工会では唯一、地場産品部会があり、21社が部会員となっている。趣旨は今回の事業と同様に「三股町にはよい素材がたくさんある。これを外に売っていこう」というものだ。小規模事業者新事業全国展開支援事業が全国商工会連合会を通して、三股町商工会に案内がきたのが6月だったと思う。それから募集締め切りの7月まで1カ月しかなく、駆け足で事業計画を策定して申請書を提出した。地場産品部会の活動がベースにあったから可能だったと思う。11月の全国商工会連合会主催の展示商談会に出展し、三股の取り組みは付け焼き刃ではないことがはっきり確認できた。三股町の自然は本当に豊か。私は都城市から移り住んでいる。どぶろくを使った取り組みは最終的には町全体をいろいろな意味で豊かにしようとするものだ。

会社概要

団体名:三股町商工会
住所:宮崎県北諸郡三股町五本松10-6
業種:商工会
電話:0986-52-2226
URL:http://www.miya-shoko.or.jp/mimata