業種別開業ガイド

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サービス業
イラストレーター

目次

トレンド

(1)手書きからパソコン制作へ

近年は、手書きからパソコンと専用ソフト、ペンタブレット(電子ペンを使って書き込むことができる液晶ディスプレイ端末)を使ったイラスト制作が主流になっており、イラスト制作の簡易化・高度化が進んでいる。また、2次元だけでなく3次元CGの技術も向上しており、イラストレーターに求められる技術水準も年々高度化している。

(2)業界内での淘汰が進んでいる

経済産業省「特定サービス産業実態調査」によると、平成29年の国内のデザイン業の事業所数は、7,584事業所(平成25年調査時と比べて2,126事業所の減少)だった。一方で、1事業所当たりの年間売上高平均は、4,389万円(平成25年調査時と比べて797万円の増加)となっている。

(3)成果物の多様化

従来は、ポスターやチラシ、パンフレットなどのグラフィックデザインが主な業務であったが、インターネット環境やアプリケーションソフトの充実により、スタンプやCGゲームのキャラクター制作などの業務も増えてきている。

イラストレーターの特徴

(1)商業デザイン業務が主な仕事

イラストレーターの仕事は、ポスター・チラシ・パンフレット・絵本・書籍などの表紙や挿絵の作成、ロゴマークやキャラクターの図案作成などが主な内容である。このほか、コミックマーケット(展示即売会)やネットで自作のイラストを販売する人たちもいる。

(2)小規模事業者の多い業界

経済産業省「特定サービス産業実態調査(平成29年調査)」によると、国内のデザイン業の事業所数は、会社組織が全体の72%、会社組織以外が全体の28%である。規模別でみると、従業者4人以下の事業所が全体の約77%を占めており、小規模事業者の多い業態と言える。

(3)人材

一般に、プロとしてイラストレーターの仕事に就く場合は、美術系の大学や専門学校で学んだ後、デザイン会社や広告代理店、映像制作会社、またはゲーム制作会社に就職し、商業デザインの仕事などを歴任した後、フリーのイラストレーターとして独立するケースが多い。

イラストレーター業態 開業タイプ

(1)個人事業主としての独立

自ら組織に属さず、個人事業主として開業するケースである。当然ながら、制作以外の営業、経理業務などもすべて自分自身でしなければならない。

(2)制作会社の設立

企業内に複数のイラストレーターを雇用し、大量な受注にも対応できる体制をもつケースである。

デザイン契約は、完成物が納品された後に代金が一括で支払われるのが一般的である。ゲームのキャラクター制作などの場合は、開発会社のプロジェクトに合わせイラスト制作期間が長期に及ぶケースもあり得るため、資金繰りには注意を払う必要がある。

開業ステップ

(1)開業のステップ

開業に向けてのステップは、主として以下の5段階に分かれる。

(2)必要な手続き

イラストレーター事業を開業するにあたって必要な許認可等は特にない。

商品・サービスづくり

(1)商品・サービスづくり

イラストレーターは、上述の業務内容の他、デザイン力や発想力を活かして、ロゴマークや看板・標識などのデザインまで幅広く手掛けるケースもある。また、IT技術も修得できれば、ウェブやデジタルコンテンツのデザインといったマルチメディアデザインの領域に入っていくこともできる。

イラストレーターの顧客は、PR活動を行うすべての企業・自治体、コンテンツ制作作業の多い広告会社やゲーム制作会社などが主となる。企業からの受注を得るには、デザイン関連の展示会やコンペティション、企業とデザイナーを結び付けるためのマッチングイベントに参加したり、デザイナーやイラストレーターを企業などに紹介する比較サイトに登録したりするとよい。

また、国の機関や自治体においても、「ポスターの図案制作」などといった業務が定期的に発生し、その都度、委託先事業者が公募されている。このため、入札参加資格を取得して、自治体のサイトなどで入札情報(調達情報)もチェックしておくとよい。

(2)著作権について

イラストレーターの描く絵画の著作権は、原則としてイラストレーター側にあるとされるが、著名なイラストレーターでない限り、企業側が制作依頼した場合、著作権の譲渡や著作者人格権を主張しない契約を結ぶケースも多い。

広告代理店などの下請けでやる場合であっても、著作権や著作者人格権、使用権などの権利関係については、後々のトラブルを回避するために契約書を作成すること望ましい。

盗作に備え、公表済みの絵画に関しては文化庁の著作権登録制度を、また、未発表の絵画に関しては行政書士による存在事実証明を利用して、作品の著作権を守ることができる。

必要なスキル

才能があれば独学でスキルを身に付けてプロとして仕事を受けていくこともできるが、美術系の学校で基本的なスキルを身に付けることもできる。またPCで制作する場合は、専用のパソコンソフトについて習熟しておく必要がある。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

最低限必要な設備資金としては、作業用パソコン、画像制作用ソフト、液晶ペンタブレット、プリンター、そしてコピー用紙などの購入費用であり、50万円~150万円程度はかかる。仕事をするにあたり大きなスペースは要らないので、自宅で開業することが可能である。

(2)損益モデル

■売上計画(参考例)

■損益イメージ(参考例)

※個人事業主を想定しているので、営業利益には個人事業主の所得が含まれる。
※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況などにより異なる。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

掲載日:2018年9月

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